JR九州高速船(本社:福岡市)は、運休していた福岡〜韓国・釜山(プサン)間の航路について、新型高速船「QUEEN BEETLE(クイーンビートル)」を使用して2022年11月4日(金)に運航再開しました。
新造するも韓国に2年間行けず
1991年に「ビートル二世」が就航してから30周年を迎えたJR九州グループの日韓国際航路ですが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航規制を受け、2020年3月9日から全便運休が続いていました。日韓両国の水際対策緩和に伴い、海上からの日韓交流が約2年8か月ぶりに再開しました。
就航する旅客船は、2020年にオーストラリアのオースタル社で建造された三胴船「QUEEN BEETLE」です。ドーンデザイン研究所(東京都板橋区)のデザイナー水戸岡鋭治氏の監修により、単なる移動手段ではなく、旅の目的になる乗り物を目指して新造されました。従来のビートルより客室は格段に広く開放的になり、ゆったりしたシートで快適な時間を過ごせます。船内には国際航路ならではの免税店、食事も楽しめるキオスク、子どもが安心して遊べるキッズルーム、授乳室や自転車置き場なども備えられています。真紅の鮮烈な船体デザインと、多様な移動を受け入れる移動空間であることが評価され、2022年度「グッドデザイン賞」を受賞しています。
2020年10月15日に初めて博多港に到着しましたが、従事するはずの国際航路に就航できる目処が立たない状況でした。このため、国土交通省から特許を取得し、2021年4月からは福岡湾や沖ノ島、糸島沖などをめぐる国内遊覧コースに就航しました。さらに、船籍をパナマから日本に変更することで国内航路の運航が可能となり、これまでに博多〜門司港、博多〜長崎の各航路での特別運航が実現しました(再開する日韓航路の運航スケジュールなど詳細は下の図表を参照)。
運賃50%オフの就航記念価格
再開する福岡〜釜山航路は当分の間、週末限定で「QUEEN BEETLE」一隻による特別ダイヤによる運航となります。2022年11月は計10便の運航で、博多港発(9:00発)・釜山港行(12:40着)の便は11月4日(金)・5日(土)・12日(土)・19日(土)・26日(土)、釜山港発(15:00発)・博多港行(18:40着)の便は11月4日(金)・6日(日)・13日(日)・20日(日)・27日(日)にそれぞれ出港します。213kmの航路で、所要時間は約3時間40分です。
11月乗船分には普通運賃の50%割引となるおトクな「就航記念特別運賃」が適用され、片道運賃は大人8,000円・小人4,000円です(スタンダードクラス、燃油サーチャージ等の諸費用別)。37.5度以上の発熱など体調が優れない場合に乗船できないなど、海港独自の水際対策により利用には一定の条件が適用されます。日本籍・韓国籍の方は相互で観光での入国がビザ免除対象となりましたが、韓国入国時は出発72時間前までに電子渡航認証「K-ETA」の申請が必要です。また、日本入国時はチェックイン24時間前までに「Visit Japan Web」によるファストトラック事前申請を行う必要があり、この審査において3回目のワクチン接種証明書または出国前72時間以内の検査陰性証明書が必須となります。
日韓航路の予約は当分の間、電話(092-281-2315)のみでの受付となります。釜山発の便は乗船の前々日17:00までの事前予約が必要ですが、博多発便は空席があれば予約なしでの乗船も可能です。水際対策が緩和された際には、インターネット予約での受付再開を予定しているとのことです。
今後も日韓航路は段階的に再開していく予定で、12月以降の運航スケジュールは11月下旬頃に発表予定です。なお、11月28日(月)〜12月16日(金)は船舶のドック期間となるため、この間の運航はありません。